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なぜ今、古いPowerPC Macを使い続けるのか
Apple silicon の素晴らしさは知っているけれども。
Tiger や Leopard を積んだPowerPC Macは、もう20年選手です。それでも多くの機体は今も普通に起動し、
当時のソフトも動き、キーボードや画面の感触は今でも心地よいものです。「今のWebサイトが快適に見られない」
というだけの理由で手放してしまうのは、もったいない話です。このページでは、古いMacで実際に何が
困りごとになるのか、そしてそれにどう対処できるのかを、いろいろ考えました。
実際に困るのは「ハードウェア」より「ネットワーク」
先に音を上げるのはハードウェアではなく、たいていネットワーク周りです。今のWebサイトの多くは
Tiger/Leopard時代のブラウザが想定していないTLSバージョンやJavaScriptの上に成り立っているため、
普通に閲覧するだけでもすぐに苦労します。ファイル共有も同様の壁があります。現代のNAS・Windows PC・
現行Macはいずれも SMB3 で話しますが、TigerのFinderはこれを理解できないため、ファイルの出し入れが
それだけで一苦労になります。
注意点をいくつか
ここからは、実際に使い込んで分かった「クセ」の話です。人によって、機種によって差はありますが、だいたい共通します。
- アプリ本体は、意外と大きいファイルでもこなします。
Lightroomの一括書き出しは、数万枚あっても止まりません(追い込んだ現像をしていなければ、の話です)。
元データそのままならさらに安定しますし、リサイズと圧縮をかけても通ります。200枚くらいをまとめて
角度補正・色温度の同期をかけても、時間はかかりますが最後まで走ります。詰まるのはアプリではなく、
たいていFinderのほうです。
- そのFinderと、発熱が大きな問題です。
書き出した画像や動画を数GB単位で送ったり、数百枚入りのフォルダをコピーしたりすると、途中で止まります。
うちの環境では、55,000枚を一気に送ると毎回ちょうど半分、25,000枚あたりで固まります。昔から使っている
人には当たり前の挙動だと思います。古い機種で「マルチタスク」を期待してはいけません。確実ではないし
例外もたくさんありますが、目安としては——アプリを長時間動かし続けるのはだいたいOK、Finderで同時に
あれこれやるのはダメ、です。
- 発熱は機種差が大きい。
PowerMac G5は大きなファンが入っているので、意外と平気です。厳しいのはいわゆるポリタンク
(PowerMac G3/G4)。Windows用のCPUクーラーを改造して載せればある程度しのげますが、問題はCPU以外の
チップです。SATAカードを足してHDDを増やしている人は多いと思います——スペースは用意されていますから。
ですが廃熱が追いつかず、CPUだけ冷えても他が原因で固まります。固まらないまでも、レインボーカーソルが
出まくります。あの綺麗な見た目を崩したくない気持ちは分かりますが、下や背面に穴をあけて大きなファンを
入れるくらいやらないと、改造しても意味がないと思ったほうがいいです。電源は無理に大容量へ替えなくても
大丈夫ですが、廃熱だけは気をつけてください。
- PCIスロットやバス周りの電源は不安定です。
USB2.0の拡張カードは定番の追加ですが、つなぐ機器は自前で電源を持っているものにしたほうがいいです。
外付けHDD1台なら平気。そこにSDカードリーダーやハブを足すと、もうダメです。当たり前かもしれませんが、
USBメモリすら複数挿すと読めないことが多々あります。
- まとめると、作業を一つに絞れば結構いけます。
いろいろつないだり、同時に何かを始めたりすると破綻します。昔の機械あるあるです。優しく、丁寧に、
余裕を持って使ってあげてください。起動直後はFinderがキビキビ動くので「お、いけるじゃん」と今の
Mシリーズと同じ感覚で使ってしまいがちですが、無理は禁物です。
緊急時の対応も覚えておきましょう。
- 何か作業したら、こまめに ⌘+S で保存。
- 固まりだしたら、別のアプリかDockのFinderをクリックしてから、メニューの「強制終了」で固まった
アプリだけ落とす。
- 画面ごと固まって強制終了も効かないときは、⌘+Ctrl+電源ボタンで強制再起動。
- そのあと起動できないときは、電源を入れると同時に ⌘+Option+P+R(PRAM/NVRAMリセット)。
リセットボタンを押してからPRAMクリア、という順でも効くことが多いです。
- 起動ディスクが見つからず起動しない場合は、電源を入れると同時にOptionキーを押して起動ディスクを選ぶ。
このあたりは他にもいろいろあります。トラブルとの格闘も楽しみのうち——そう割り切って、Old Macライフを
楽しんでください。
このサイトでできること
-
PowerPC Mac向けブラウザ「Aquafox」
(TenFourFoxベース)の日本語化パックを配布しています。アプリの専門用語は学校で習った英語と違った
表現が多く、日本語UIで使いたい方には多いはずです。
-
AquaLinkは、まさにこのSMB3の壁を
越えるために作りました。Tiger世代のG4から現代のSMB3共有に接続できるほか、G4自体を簡易NAS化して
現行Mac・Windowsから見えるようにすることもできます。
-
古いMac OS X時代のFinderでバリバリ使い込んだ人には、
AquaFinderが現行macOS上で
それを再現します。こちらはPowerPC Mac本体向けではありませんが、この時代のMacに惹かれる方には
きっと楽しめるはずです。
快適に使い続けるための工夫
- ブラウザは用途で割り切る。 Aquafox/TenFourFoxはたいていのサイトを表示できますが、
JavaScriptを多用する重いサイトは素直に現行機に任せる方が得策です。PowerPC上で無理に戦うのは
あまり報われません。
- 可能な機種はCF/SD-IDE変換やSSDに換装する。 この世代の機体にとって、体感速度と
信頼性を最も改善できる一手です。
- 有線、または相性の良いWi-Fi環境を用意する。 古いAirPortカードはWPA3専用の
ネットワークとは相性が悪いことがあります。ネットワーク層さえ安定すれば、悩みの多くは解消します。
- 光学メディアやUSBメモリの受け渡しより、ファイル共有を使う。 ここを埋めるために
作ったのがAquaLinkです。
レトロコンピューティングに詳しい必要はありません。押し入れにPowerPC Macが眠っていて、まだ電源が
入るなら、それはまだ十分に「使えるMac」である可能性が高いです。あとは今のネットワークとの間に、
いくつかの橋を架けるだけ。このサイトはその橋を提供しています。